COLUMN

DDSはどのようにして生まれたか?

DDSはどのようにして生まれたか?

そもそも、僕は芸術家の師匠のもとで色々と作っていたのですが、その師匠には「自分たちの作っているモノは無くても生きていけるモノ」として教えられてきました。
僕にはこの考えが受け入れがたく、次第に、自分はどう生きるのか?を考えるようになりました。

僕が出した答えは「体験を伴うモノの思い出は捨てられない」「生活上は無くても生きていけるが、心を守ることができるモノ」。

これを作る。
そして、これを通して「新たな体験がその人に生まれるモノ」が僕の答えでした。

ほら?
ぬいぐるみとかって一緒に過ごして遊んで、モノだけど愛着がわいて捨てられないじゃないですか?

指輪とか絵とかを頑張って買って、それを身に着けたり飾ったりしていると自分の勲章のように感じて、また頑張れたり。自身がそうであり、これを共感してくれる人は多いと思ったんです。
あとは早かったです。むき身の自分になるだけ 笑

ゲームがずっと好きだから、自分ができることでゲームに関わっていきたい。ATLUS作品が好きだから、ゲームのキャラクターたちが身に着けているような、ジュエリーやアパレルが欲しい。

でも、現状プレイヤーとしての自分が欲しいモノは無い。誰もやらないなら自分が作るしかない。

とりあえずATLUSさんに電話してみる!

……今思えば、よくいきなり電話かけたもんだと思いますが、その時電話を受けてくださった担当さんもノリがいい人で。

会って打ち合わせをしてくださり、企画書も書けずモノで伝えるしかないと用意した、ジャックフロストの指輪とGUMP(可動変形iPhoneケース)を見て、「アホや 笑」と受け入れてくれました。

そこからご縁ができて、なぜかATLUSさん内部の仕事をやらせていただくようになり、メガテン、ペルソナ、世界樹、など色々と、作って……。梶田さんや杉田さん、他にも沢山のメガテン好きの仲魔と出会って……。

あれ?

僕は指輪とか出したくてATLUSさんに凸ったのでは?と気づいたのは2017年です。
作るの楽しくて忘れかけてたのですが、そうでした。僕はジャックフロストの指輪を出したかったんです。

光栄なことに、2017年、ATLUSさんから「メガテン25周年の節目に公式御用達のブランドを立ち上げるのはどうだろう」とお話をいただき、デザイナーを担うことになりました。

ちゃんと覚えててくださったんですね。

本当に嬉しくて。泣いてしまいました。

そしてひとつ、ワガママを言いました。

ブランドの名前はとても思い入れのある「DDS」にしたいです!

…こうして、DDSは生まれました。

DDSとしての個性とは?その想い

DDSがどのようなものかをATLUSさんの言葉で言うと「公式が太鼓判を押す、圧倒的にハイクオリティなアイテムを出していくブランド」。

DDS立ち上げ当初はジュエリーで始まってはいますが、アパレルやインテリアなどの展開もしていくということは立ち上げの時から会議に上がっていました。ちょっと特殊なのですが、ATLUS側とも共有を重ねながら、企画を考え作り出しています。

あとはゲームの世界観を実体験できるような、コスプレ衣装にならないものを作ろうと心がけています。衣装は衣装会社さんが商品で作ってくれるでしょうし、実際に「真・女神転生」のゲーム内の人たちにとっては、彼らの世界に存在するメーカーやブランドが販売しているものを身に着けているわけですからね。

ゲーム内のブランドをコッチ(現実世界)に持ってきた、ということがやりたかったんです。

きっと、ゲームの世界では勇リング=アザゼルリング、パスカルリング=シベリアンハスキーリングみたいな名前で売っているんでしょうね。あの世界には青いシベリアンハスキーが生息しているわけですし 笑

僕は、大人になったらアニメ・マンガ・ゲームの何かを身に着けているのが恥ずかしいというのが嫌いで、好きなものを胸張って着けていたいという想いがあります。

だって、大人になったら好きなモノを隠したり、ごまかしたりしないといけないとか、嫌じゃないですか 笑

これは作り手、売り手にも問題があると思っています。外に着けて行っても恥ずかしくないデザインものを作らなければいけない。コレは良いもので、どういう理由で高い金額になってしまっているのかを説明できなければいけない。

大人の自分がつけてても良い理由を、ユーザーが自身で持てるようにしなければいけない。

僕のDDS以前、DDS以外での活動でもですが「大人になったからって好きなモノとサヨナラなんてしなくていい、でもノスタルジーは危険だから、過去の好きだった自分も連れて、新しい体験を作っていこう」

こんなテーマを持っています。

DDSとそれに携わる人たち

ATLUSさんはもちろんのことですが、発売やDDSのデジタル部分で協力してくれているICREA社の存在は外せません。後述しますが、人間の手とデジタルの両方のツールを合わせることで、 DDSのアイテムはより詰めたものに仕上がっています。

それからDDSチーム。
実際の運営をやってくれている、僕と一緒にDDSを動かすチームですね。全体の進行や締め切りを守るように僕の尻を叩いてくれたり、店頭イベントでも陣頭指揮をとってくれる、僕にとって本当にありがたい人たちです。

ちなみにDDSチームや店頭スタッフの中には、メガテンプレイヤーで僕と張るくらいゲームの知識がある人もいます 笑

あとは、外部の協力者たちですね。
やはりメガテン好きであり、メガテンプレイヤーなのですが、

フリーライターのマフィア梶田さん。

出会っていきなり、僕のファッションリーダーになってください!(かなり言葉足らず)という誤解を受けるナンパをして、それ以来色々と一緒に戦ってもらっています。
その存在や唯一無二の見目と指の綺麗さから、DDS公式モデルをつとめていただいています。

よく僕が言うのは、メガテンの崩壊後の世界は人間よりも怖いのが(悪魔など)いっぱいいるから、梶田さんくらいの見た目がスタンダード。

声優の杉田智和さん。

彼はATLUS作品において、葛葉ライドウや他にも様々なキャラの声優をつとめています。

メガテン友達(ゲーム友達)で、ファッションにも造詣が深く、アドバイスやアイテムの提案もしてくれています。なんなら、僕でさえ知らない失われた技法のアイテムを教えてくれたり。
杉田さんと車で移動するときのBGMはもちろん「真・女神転生」シリーズ。

ミュージシャンのLotusJuiceさん。

オープニングパーティーのトークショーにも出ていただきましたが、ペルソナだけでなくメガテンプレイヤーでもあります。
当初Lotusさんにゲームを勧めたら、光の速度で僕を追い抜き立派なゲーマーになっていました。(実話)

他にも僕の無茶ブリに応え続けてくれている鋳造や仕上げをしている会社など、書ききれないくらいのメガテン好きな人たちの協力があります。

DDSならではの開発秘話など

前述しましたが、一番特徴的なのは手による造形と、デジタル造形の両方を使っているところですかね?

例えばピクシーのネックレスだと、一度手のひらサイズくらいのピクシーを作り、デジタルスキャンをかけてデジタル化、それをデータ上で調整し縮小し3Dプリンターで出力。出力したものをさらに手で造形……。みたいな感じで行ったり来たりして作る場合や、人修羅リングやナナシリングなど、機械的で手造形に向かないものはデジタルで作ったりしています。

ジャックフロストリングとかも、僕が手で作ったモノをスキャンして、データ上で左右対称にして出力したものを最後に手で造形してたり。

たまに魔神皇のように、なんで僕は全部手で作っちゃったかなー。いらん苦労したなーというものもありますが 笑

ちなみに今出ているルシファーなどの【Stories】とかは、もはやどうにも僕の脳内を伝えようがないので、手のみで作ってたりします。

あとはそうですね……ジュエリーだからと僕が言い訳をしたくないので、ATLUS開発チームからの意見と向き合うときによく発生する「ジュエリー業界に存在しない技術」ですかね。

分かりやすいのだと、グレートパスカルのリングを出そうと提案したところ、青くないとただの犬に見えるという意見をいただき「そりゃもっともだ」と思ってしまったために、新技術「青燻し」を開発したとか。
難題がくると楽しんで燃えるタイプなんですよ 笑

実際の「燻し」とは、金属を酸化させて表面の凸造形部分を磨くことで入り込んだところに、酸化した黒い部分が残り陰影がつくという技術です。DDSは燻し鏡面という仕上げが多く使われています。

パスカルの場合、詳細な製法は控えますが……まず原型時に犬の毛並みを細かく、かなり深く造形します。そこに特殊な塗料に樹脂系硬化剤を混ぜたものを塗り込み、高温で焼成することで、塗ったものを樹脂化させる。
あとは「燻し」と同様に凸造形の毛の部分のみ毛並みを出すように磨くことで、入り込んだところに青い樹脂が残り、パスカルリングのデザインが完成します。

なので僕が開発時に青燻しと適当に呼んでいたところから、「青燻し」というそのままの言葉になってしまいましたが、燻し的な技法なだけで、技術としては燻していないです。

他にはジャックフロストのデニムぬいぐるみとか。
納得いく、自分が欲しいというバランスになるまで修正し続け、気が付いたら2年くらい経っていたという。辛抱強く付き合ってくださった工場に感謝です。

他にも、ブロンズ調にする技術や、発光させたものなど、こだわりはまだまだありますが、それはまたの機会にでも。一つ一つで1コラムかけるくらいのボリュームになってしまうので 笑

DDSのユーザーに向けて

僕が大好きなゲーム「真・女神転生」

プレイヤーとしての体験を皆さんと共感したい。

僕は好きを一番うまく伝える方法が「作る」という言語だから、これは僕からのコミュニケーションです。

そして、DDSを通して皆さんと新たな体験を作っていけたらいいなあ、と思っています。

というわけで

コンゴトモヨロシク