EPISODE-2

体験は体感を伴ってこそ、心に刻まれる

ぬいぐるみは捨てられない

経験・体感の気づき

ある時、僕に大きな気づきの瞬間が訪れます。それは「ぬいぐるみが簡単には捨てられないのは何故だろう?」と考えている時でした。

ぬいぐるみが捨てられないのは、そのモノと過ごした時間や感触が心に刻まれているからではないか。

つまり経験や体感を伴って心に刻まれたモノは簡単には捨てられない。

それこそが愛着のようなモノで、生活必需品ではない造形物も、実は持ち主の人生や成長にとって、重要な役割を担っている。

経験や体感を伴ったものは捨てられない。それどころか持ち主にとって、貴重な必需品となるのだと。

リングの意味

忘れ得ぬ作品

そんな頃、僕に辛い別れの瞬間が訪れます。

それは心から尊敬している女性の友人が、事情があってクリエイティブ業界から離れる、会うことすらも難しくなるといういかんともしがたい出来事です。

僕はそのころすでに造形作家としての活動をしていたのですが、彼女から意外な頼まれごとをしました。あくまで友人なので、何かを欲しいなどと言われたことは無かったのですが……。

彼女は、自分の指のサイズに合う、欲しいデザインのリングが無いから作ってほしいと言ったのです。

これが僕の初めて作った指輪です。

受け取る人の顔を想像して、受け取る人に伝えたい気持ちを込めて、その人にとってどのようなモノになってほしいと願いを込めて。共に過ごした時間を形にしました。

体験は体感を伴ってこそ、心に刻まれる

フィギュアや ゲームの意味

例えば素晴らしい完成度のフィギュアは、眺め鑑賞することはできても体験できない。

またゲームの奥深い世界体験も現実の中ではゲームをプレイした体験と言う形になってしまう。

しかしファッションやぬいぐるみのように、我々の現実世界に存在し、触れることができ体感できるものなら、一緒に過ごす時間が単なる鑑賞ではなく、リアルな体験となる。

思い起こせば中学時代、映画の世界観を体験したくて、独学で作り始めたファッションやアイテム。

その行動の真意はここにあったのだ。

体験は体感を伴ってこそ、心に刻まれる。

だからこそ、
『アナタが紡いだその体験は、その記憶は捨てられない大切なものなのだ』
と伝えるためにも映画やアニメ、ゲームの素晴らしい世界観を、リアルな体験へと転換することこそが、自分の使命なのではないか。